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青春あやまち論2【黒子のバスケ】

第9章 条件があるわ



だが、昨日からは会場が同じ。

しかも今日は準決勝であるためにチームも少なく、バッタリ偶然、ということが起こる可能性がある。


「…今なら、大丈夫かしら…皆、今頃試合中のはずだし…」


私はこそこそと怪しく控室を出て、すぐ近くのトイレに駆け込んだ。

誰にも見られることなく控室へ戻ろう、としていた時。

私は意外な人物と対面を果たした。


「ん?君…確か…」


突然呼び止められ、振り向くと、長い前髪で左目が隠れた涙ボクロが特徴的な彼。

見覚えのない彼に、もしかして以前どこかで…?と思い、記憶を辿ってみるが、やはり見覚えがない。


「うん。写真で見た通り、凄い美人さんだね」

「はあ……えーっと…どちら様でしょうか?」


新手のナンパ?

微笑みかける彼に首を傾げながら、私は問いかけた。


「ああ、すまない!俺は氷室辰也。君、シュウの従妹の藍川華澄ちゃんだね?」

「!」


氷室辰也…。

間違いなく、先日修ちゃんが言っていた彼だ。

よく見れば、彼の手にあるバッグには『陽泉』と書かれている。


「…あなたね……よくも余計なことを…」


こいつがあっくんに余計なことを話さなければ、こんなに私が頭を悩ませることはなかったのに。

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