第2章 聞いてないわ
この人懐っこさに圧倒されながらも、私は困り果てる。
「赤司も呼び捨てだし、気にすんなって!な?永ちゃん」
「まーな。俺はどーでもいーけど。それより腹減ったしなんか食いに行かね?」
「永ちゃんさっきからそればっかじゃん」
面倒くさそうに言う根武谷さんに、葉山さんは口を尖らせる。
「でもそうねぇ…征ちゃんもそう呼んでるんだし、華澄ちゃんも私たちのことは先輩みたいに扱わなくていいわよ?」
「…そう言われましても」
困る。
うん、この一言に尽きる。
「一体いつまで話し込むんだ。華澄が玲央たちの要望に応えれば済む話だろう」
征十郎までそう言い出す始末。
…私はあんたと違って年上は敬う人間なんだから、ちょっと黙っててちょうだい。
「うーん……では、私も実渕さんを『レオ姉』と呼ばせていただきますね?葉山さんは…『コタちゃん』でいいでしょうか?」
「全然オッケー!その方がしっくりくるよ!」
「その流れで俺はねーのかよ」
あなたは言ってなかったでしょうが。