第9章 条件があるわ
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あれからあっくんは、約束通り、誰にも話していないようだった。
間もなくして迎えたIH当日。
今年の開催地は、関東。
バスケの会場は東京ではないものの、実家へ帰るような気分で、変わり映えもなく、どこか気分は落ちる。
そして事件は、IHの開会式前に起こった。
「なっ…どうして…?!私をベンチに入れないって、どういうことよ!」
宿泊先を出て、開会式会場へ向かう途中で、征十郎に告げられた。
「今回はまだ役者が揃っていない、お前のお披露目はまだだ。試合の間は控室にいてもらう。一歩も外へ出るな」
「そんなことなら京都に残ったわよ!どうして今更そんなことを言うの?!」
「試合後の選手のケアは誰がやるんだ。それにこのことを先に言ったところで、お前が今言ったように着いてこないことは考えなくともわかる」
本来ならば、トップマネージャーの私がベンチに入るはずだった。
にも関わらず、征十郎は自分のゲームを楽しむために私をベンチから追放しようとする。
「どうせ提出してあるマネージャーは樋口なんだ。別にいいだろう?」
「よくないわっ」
「僕の命令が聞けないのか」
「…!」
冷たい目をして、その瞳に私を捉えた。