第9章 条件があるわ
あっくんが…私を…好き…?
「それって、どういう…」
『藍ちんがアメリカに行くって聞いた時、あの時の赤ちんから逃げたかっただけなのかもーって思ってた。それでも、藍ちんは赤ちんのことしか見てないのわかってたし、俺も赤ちんには敵わないってわかってたからずっと黙ってた。でも、室ちんから藍ちんのこと聞いて、やっぱ俺は藍ちんが欲しいって思ったんだー』
思い返せば、そんなことを思わせる節々は、中学時代何度もあった。
― 『それでさ…藍ちん、まだ高校決めてないでしょー?良かったら俺と…』
あの時も、本当は私を陽泉に連れていくつもりだった…?
『だからー。俺が赤ちんに勝ったら、藍ちん、こっちに来なよー』
「そんな急に言われても…困るわ」
『えー?ダメなのー?やっぱ、赤ちんじゃないとダメー?』
「そういう意味じゃ…」
今の私は、きっとどこへ行っても同じ。
過去のあやまちを抱えたままで、上手く笑えない。