第9章 条件があるわ
でもこれは誰が悪いわけでもない。
修ちゃんは、ただ日本にいる従妹の話を友だちにしただけ。
氷室さんは、自分の友だちを知っているという後輩とその話をしただけ。
――― 悪いのは…。
「あ、謝らないで…修ちゃんは何も悪くないわ。氷室さんも…」
『華澄?』
「悪いのは、皆をだまし続けている私なんだもの」
――― 私。
「こんな朝早くから、本当にごめんなさい。切るわね…」
『大丈夫か?』
「平気よ。本当にごめんなさい」
『また何かあったら電話しろよ?』
全ての元凶の私に、いまだ優しい言葉をかけてくれる修ちゃんに一言だけ返して、私は電話を切った。
「どうしよう…征十郎にもしバレたら…」
あっくんのことだ。
私だけではなく、きっと征十郎にも問いかけているはず。
そうなれば、私はもうここにはいられなくなってしまうかもしれない。
あと一週間だったのに、たったそれだけだったのに…。