第9章 条件があるわ
私はいてもたってもいられず、修ちゃんに電話を掛けた。
「早く出てよ…!」
今、向こうは明け方の四時のはず。
迷惑な時間だということはわかっているが、そんなことを考えている余裕などなかった。
何度も鳴るコールに私は、唇を強く噛んだ。
『…はい』
「修ちゃん…!」
そろそろ留守番電話に切り替わる、というところで、漸く修ちゃんと繋がった。
『お前な…んな時間に掛けてくんなよ…。こっち何時だと思ってんだ…』
明らかに今まで寝ていたとわかる、覇気のない修ちゃんの声に申し訳なさを感じながらも、私は声を荒げた。
「あっくんに、私のこと教えたの?!」
『はあ?』
「ねぇ、どうなのよ!あっくんじゃなくても、誰かに私が洛山にいること言ったの?!」
『…何の話だよ。俺が教えるわけねーだろ…』
本当に何も知らないのか、修ちゃんは不機嫌そうな声で答える。
「じゃあ、誰がいるのよ…!他に私のことを知ってる人がいるの?!」
『一旦落ち着け…。…何があった?』
修ちゃんに落ち着くように言われ、私は今にも零れそうな涙を堪えて、事の経緯を説明した。