第9章 条件があるわ
WC、冬に行われる高校バスケ最後の大一番の大会。
「私が予想しているように真ちゃんやテツ君が変わったとしたら、きっと面白いことになるわよ?」
「へぇ…それは楽しみだな。だが、まずは目の先のIHだ」
「どうせ優勝するんでしょう?」
私が問いかければ、征十郎は何も答えはしないが、その表情が勝利を確信していることを物語っている。
「そうだ、華澄に言っておきたいことがあるんだ」
「何よ」
「…いや、今はやめておこう」
「気になるじゃない。教えなさいよ」
突然、何か思い出したように言う征十郎だが、結局その内容は教えてくれない。
「後でのお楽しみだ」
そう言って微笑む征十郎の顔は怪しい。
この顔は、絶対何か企んでいる。
モヤモヤした気持ちを抱えながら、私の家の前に着いたことによって、征十郎とは別れた。
「…あら?」
家に着いて、着替えている途中で携帯が光っていることに気づき、開いて見てみれば、一件の不在着信と一件のメール。
差出人は、どちらもあっくんだった。
「…っ?!ど、どうして…!?」
そのメールを開き、内容を見た私は背筋の凍るような感覚に襲われる。
部屋の中は暑いのに、体はどんどん体温が奪われていくような…そして冷汗が浮かんでくるような。