第9章 条件があるわ
今日から夏休み。
そして、一週間後にはIHが始まる。
漸く私のかくれんぼも終わりを告げるのか、と安堵の息をつく今日この頃。
「東京の予選は華澄の予想通りだったな」
その日の練習を終えて、私を家まで送っていた征十郎が隣で言う。
「ここまでアッサリ予想通りだと面白くないものね」
「そう言ったところでIHは始まるんだ。そう言うな」
先月末の東京都のIH予選。
IHに出場する『キセキの世代』は大ちゃんのみ。
私の予想した通り、真ちゃんは決勝リーグ前にテツ君の誠凛に敗北。
そのテツ君も大ちゃんの桐皇に敗北し、その後の決勝リーグも全敗だったらしい。
予想外だったのは、火神大我が桐皇戦で足を負傷して、残り二試合を欠場したことくらいだ。
「次に上がってくるとしたら…WCかしら…」
「どうだろうな」
征十郎はどこか嬉しそうに口角を上げて言う。