第8章 我が儘か
…私が間違っているのだろうか。
間違っているつもりは毛ほどもないが、でも…征十郎の言うことは正しい。
「…従っていれば…側にいてもいいのよね…?」
「ああ」
側にいるためには。
洛山のマネージャーであるためには。
私の存在意義を持ち続けるためには。
…征十郎に従うしか、道はないの…?
「間違っているのは私なのよね?…そうね…謝るわ。…ごめんなさい」
「わかればいい」
そう言えば、征十郎は手を下げて冷たい目を止め、いつもの涼しい顔に戻る。
「(…これが正しい。そうするしか、他に方法はないのよ…)」
自分に言い聞かせ、私はまた彼と並んで歩いた。
折角見つけた、自分の居場所。
それでさえも、彼の側にいるためには捨てなければならないの…?