第8章 我が儘か
それだけレオ姉たちに懐いていたのだと、今気づかされる。
「面白くない」
「何が面白くないの?」
「……」
突然、そんなことを言われ、私は首を傾げながら征十郎を見た。
だが、征十郎は私の方を見向きもせず、問いに答えもしない。
「えーっと…征十郎もレオ姉たちがいなくて寂しいってことなのかしら?」
「そんなわけないだろう」
「だったら何なのよ」
寂しいわけではない。
だが、今日のことを征十郎は「面白くない」などと言う。
何が一体どう面白くないのか、私には皆目見当もつかない。
「玲央たちに懐くのは結構だが、お前は僕のマネージャーであることを忘れるな」
「いつから私は征十郎専属のマネージャーになったのよ……っ!」
私が言い返すと、征十郎は冷たい目で私を見下ろした。
その目を前に、私はその場に立ち止まった。
「いいか、お前は僕のためにここにいるんだ。お前の全ては僕だ。覚えておけ」
「……」
お気に入りの玩具を取り上げられた子供のような。
だけどそんな生ぬるいものではない、全て自分の思い通りに行かなければ気が済まない…。
そんな目だ。
「私は…誰のモノにもならないわ」
私は声が震えるのを抑えながら、言った。
「あくまで逆らう気か」
「逆らうつもりはないわよ。だけど、私にだって意志くらいはあってもいいんじゃないの?」
「そんなものはお前に必要ない。ただ僕に従っていればいい、それが正しいのだから」
征十郎は私の首に軽く手を掛けながら言う。