第8章 我が儘か
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夏本番も近づく今日この頃の夜は、昼間の暑さが残り、少し蒸し暑い。
その中で、時々吹く風は一瞬の涼しさをもたらしてくれ、心地よい。
「涼しい…」
帰り道、征十郎と並んで歩く途中でも心地よい風が私の頬をかすめる。
「もう夜でも蒸し暑いからな」
「北海道は涼しそうね」
「そうだな」
冬は極寒だが、夏はいい感じに涼しそうで、今現在北海道にいる二年生集団を羨ましく思った。
対してここ京都は、冬は極寒、夏は灼熱。
流石は盆地、京都。と言うほかない。
「今日一日、華澄はその話しかしないな」
「そうかしら?」
征十郎に言われ、よくよく今日のことを思い返してみれば、確かに教室でも部活でも、北海道にいる彼らの話ばかりしていた気がする。
「うーん…言われてみればそうかもしれないわね」
あ、もしかして私ってば寂しいの?
早く帰ってきてほしい、なんてことも言っていたわけだし…。