第7章 良かった、って
まさか気づかれてるなんて思いもしなかった。
それなりに作り笑いは上手くなった方だし、クラスメイトにも成美ちゃんにも「よく笑う」なんて言われるほどに成長したつもりだったのに。
「アタシたちの前だけでも、無理して笑わなくていいのよ?」
レオ姉に言われ、私は何と返せばいいのかわからず俯いた。
「それでも、入部した時からしてみれば笑うようにはなったよね」
「あー、確かにな。前はもっと作ってる感が凄かったもんな」
「華澄ちゃんが何を悩んでるかなんて、アタシたちにはわからないけれど、アタシたちは華澄ちゃんに心から笑っててほしいのよ」
「……」
心配そうに三人は言ってくれる。
マネージャーなのに。
こんなセリフは私が部員に言う側でなければいけないのに。
「…ご心配をおかけしてすみません。私…洛山のマネージャー失格ですね」
帝光のマネージャーは既に失格だ。
せめてもの償い、として始めた洛山の方も、こんな形で失格になるなんて…。
「マネージャーだからとか関係ないわよ。華澄ちゃんだって大事な仲間でしょ?」
「そうそう。カスミンがいなきゃ部活回んねーし」
「差し入れも誰が作んだよ」
「ちょっと、永吉!あんただけ何か違うわよ!」
帝光バスケ部も以前はこんな雰囲気だったのかしら?