第7章 良かった、って
まあ、あれだけ上手くてアメリカに行きました、なんて言えば、無理もないことなのだけれども。
「いえ、私の伯父…修ちゃんのお父さんが病気で、治療のためにアメリカに渡ったんです。修ちゃんも中学卒業後はそれを追いかけていきました」
「あ…そうだったの…」
「あ、でも!伯父さんも今は順調に回復に向かってるんで…その、暗くならないでください」
聞いてはいけない話を聞いてしまった、という風に表情を暗くする三人に、私は慌ててフォローを入れる。
嘘は言っていないし、伯父さんが回復に向かってるのは事実だ。
「じゃーさー。虹村は向こうでバスケやってねーの?」
「いえ、ストバス程度では続けてますよ。伯父さんが回復次第、また本格的に始めるそうです」
コタちゃんの問いに私は答える。
「アメリカか…ストバスでも相当強いんだろーな」
「修ちゃんなりに楽しんでるみたいですよ。何でも日本人で凄く上手い人と出会ったとか」
「へぇ、面白そうね」
写真を改めてまじまじと見る三人の後姿に、私はフッと笑ってしまった。
「この時はさ、カスミンもまだ笑ってたの?」
「え?」
コタちゃんが不意に問いかけてきて、私は思わず目を見張る。
「赤司とカスミンの中学時代がどんなだったかとか知らないけど、写真の中のカスミンは笑ってんじゃん?でも今のカスミンは、無理して笑ってるって感じだから」
「そんなこと…」
「ない」とは言い切れず、言葉が詰まる。