第7章 良かった、って
「…何ですか?」
もう一度言うが、今日は久々の一日オフだ。
この一日が終われば、またIHに向けて休みなく練習に明け暮れる日々が再開される。
今学期最後と言っても過言ではない、貴重な休日である。
「勉強会しようと思ってさ!」
「私、皆さんと学年違うんですけど」
コタちゃんは満面の笑みで私に言うが、彼らは二年生で私は一年生。
テストの範囲も内容も全く違う。
「皆でやった方が捗るって!」
「皆さん、寮に住んでますよね?寮でやったらいいじゃないですか。どうして私の家なんですか」
「寮で勉強するの飽きたんだよ。気分転換にいいじゃん」
「他でやってください」
この三人に家の場所を教えたのが間違いだった。
これまで送ってもらったりしたことはあったが、いまだ成美ちゃん以外、あの征十郎ですら家にあげたことはない。
「お菓子も沢山買ってきたのよ?」
「立ち話もなんだし、邪魔すんぜー」
「あ、ちょっと!」
どうにか断って、帰ってもらおうとしていた私を無視して、永ちゃんは私を押しのけながら玄関に上がり込んだ。
永ちゃんに続き、レオ姉とコタちゃんも入っていく。
「もうっ」
入ってしまったものは仕方なく、さらにはこの三人が今更大人しく帰るわけもない。