第7章 良かった、って
「具合が悪いってわけではないんですけど、最近食欲があまりなくて」
「あら、夏バテかしら?」
「今から夏バテじゃ、京都の夏はやってけねーぜ?」
レオ姉とコタちゃんは心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「うーん…夏バテではないと思うので、大丈夫です」
このくらいの暑さでやられていては、バスケ部のマネージャーなど務まるわけもないし、私の食欲がなくなるのは今に始まったことでもないわけだから、そこまで心配するようなことでもないと思う。
「華澄は元々食が細いんだ。無理してでも食べるようにしろ。でなければいつか倒れるぞ」
「わかってるわよ」
私の方をチラリとも見ず、征十郎は言った。