第6章 ありえませんよ
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球技大会前日。
あれから私は毎日、部活終了後にバレーの練習に励んだ。
「このくらいできるようになれば上出来ね」
「はい。皆さん本当にありがとうございます」
レオ姉が私に優しく微笑みかけてくれる。
何を隠そう、なんとこの一週間で私はボールを腕で受けてそれを返せるまでに成長したのだ。
「最初はどうなるかと思ったけど、これなら明日もなんとかなるっしょ」
コタちゃんも私の成長を嬉しそうに言ってくれる。
「でもなー…サーブは最後までできなかったな」
「それは…その、すみません」
「責めてるわけじゃねーよ」
永ちゃんが心配そうに言うのは、バレーの試合をするうえで重要なサーブだけが何度やってもネットを越えなかったこと。
「華澄ちゃんの腕は細すぎるからね…仕方ないわよ」
レオ姉は私を励ますように言った。
「もう下校時間も過ぎている。片づけて帰ろう」
征十郎の一声で、私たちは使用したネットなどを片づけ始めた。