第6章 ありえませんよ
皆が私の練習に付き合ってくれるというのは嬉しいけれど、これはマネージャーとして如何なものか。
「でもやっぱり…近畿大会も来週末に控えてますし。悪いので…」
「お前、その運動神経でよくそんなこと言えんな」
「…うるさいですね」
黛さんはため息交じりで私を征十郎同様、呆れた表情で見ながら言った。
「華澄、お前の運動神経の悪さは僕のお墨付きだ。クラスの総合優勝もかかっているのだから、永吉の言う通り、毎日練習してもらうぞ」
「……」
そんなことでお墨付きをもらっても、全く嬉しくなんだけど。
私の練習に付き合うのも、結局は自分の闘将伝説を更新したいだけじゃない。
「…よろしくお願いします」
断るつもりでいたが、皆がこう言ってくれているんだし、悪いとは思いつつも、私は皆に頭を下げてそれを引き受けた。
そしてこの日から、来週の球技大会に向けて部活後の特訓が始まった。
征十郎、レオ姉、コタちゃん、永ちゃんは毎日付き合ってくれたが、黛さんは気が向いた時にしか来てくれなかった。
それでもあの黛さんが偶にでも私の練習に付き合ってくれるということ自体が、私の中では驚きだった。