第6章 ありえませんよ
「まずはパスからね。いくわよー?」
レオ姉はアンダーサーブを打ち、ボールは綺麗な軌道を辿って私の元へ落ちてくる。
「えいっ」
私はそのボールを受けようと腕を振った。
が、ボールはスカッと私の腕の横を通り過ぎ、そのままトン…と音を立ててフロアに落ちた。
「「「……」」」
その様子を全員が口を開けて呆然と見ていた。
ただ征十郎だけは、やはりな、とでも言いたげな呆れた表情で私をジッと見る。
「え、カスミン?真面目にやってる?」
「当たり前じゃないですか。先輩方にわざわざ付き合ってもらってるんですから、ふざけられるわけありません」
「「「……」」」
私がキッパリと言い放つと、征十郎以外の四人は何か考え込むようにして黙り込んだ。
「おうコラ、藍川…今日から毎日練習するぞ!」
「え?!」
「アタシも永吉の意見に賛成ね。このままじゃ華澄ちゃんが心配だわ」
「レオ姉まで…」
私、そこまで運動音痴なのかしら…。