第6章 ありえませんよ
「あ、黛さーん!あんたもこっちおいでよー!」
「えぇ?!」
コタちゃんは帰宅途中だった黛さんを発見したらしく、大声で彼をこちらへ招く。
「何だよ」
「今からバレーしよ!」
「はあ?」
いきなり呼ばれた挙句に、自分の部のスポーツですらないバレーをしよう、と誘われた黛さんは当然の如く眉間に皺を寄せて訝しげな表情を浮かべる。
「可愛い華澄ちゃんのためよ。あなたも協力しなさい」
「どこに可愛い華澄ちゃんなんて存在すんだよ」
「ちょっと、黛さん!どういう意味ですか!」
相変わらず私を”高嶺の華”扱いしない黛さんを睨むが、今までこれが効いたことは一度もない。
「いいから始めるぞ。時間が勿体ない」
征十郎が声を掛けると、部活の練習かのように全員返事をし、円になって集まった。
黛さんもそれを見て、ため息をつくと、この円の中に入った。