第6章 ありえませんよ
元凶の征十郎に付き合ってもらう、というのはどこか引っかかるところはあるが、やむ得を得ない。
「あれ?赤司とカスミン、まだ帰んねーの?」
少し開いた体育館のドアから既に制服に着替えたコタちゃんが顔を出す。
「ああ。華澄の練習に少し付き合おうと思ってな」
「へぇ。面白そうじゃん。俺も入れて!」
「え?!」
コタちゃんは靴を脱ぎ、体育館に入ってきてはバッシュを履いてこちらへ向かってくる。
「いいですよ、悪いですし。コタちゃんだって練習後で疲れてるでしょう?」
「んー?これくらいどーってことねーよ!」
「小太郎、こんなとこにいたの?」
「帰らねーのかよ。お?赤司と藍川まだ残ってたのか」
レオ姉と永ちゃんまで来てしまった。
このままの流れだと、二人まで参加すると言い出しかねない。
「カスミンの練習に付き合うんだ!レオ姉と永ちゃんもどう?」
「いいわね」
「お前ら皆やるんなら俺もやるか」
ほらね。
「本当にいいですって。皆さん疲れてるのに悪いです」
「気にすることないのよ?アタシだってバレー選択なんだから」
レオ姉は、ね?と私に微笑みかける。
うっ、私はレオ姉のこの笑みに弱い。