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希望の果てにあるものは

第14章 非常事態


「……さて! えーっと、次は……」


気まずくなった私はシロさんから目を逸らしてファイルを拾う。
次のページには520111から520120までの十人のプロフィールが書かれている。
私の首にある数字は520115。


(……やっぱり)


予想通り私の個人情報が書かれていた。
写真には高校の制服を着た私が写っている。
この写真には覚えがある。確か、生徒手帳に貼っていたのと同じものだ。
プロフィール欄に書かれている情報に間違いはない。
名前はもちろん、年齢も血液型も生年月日も身長も体重も病歴も。
まあ風邪以外の病気になったことはないため病歴の欄は無記入だが。

次のページには健斗君と津山さんと真琴のことが書かれていた。
真琴の数字は520127。本人の首を見てみると、やはり520127とある。


(へー……津山さんって二十二歳なんだ……)


このファイルを見て初めて知った津山さんの年齢。
二十二ということは大学生だろうか。
実を言うと津山さんは二十代後半くらいかなと思っていたが……。
このことは誰にも言わず、私の胸に留めておこう。……さて。


(……これ、読む意味あったのか……?)


シロさんの本名を知ることができたため、まったくの無意味ではない。
けど、みんなの個人情報を知って、それで何がどうなる。
シロさんのこと以外はほとんどどうでもいいことばかりだ。
年齢や誕生日なんて、本人に聞けばいいのだから。

これ以上考えると自分のしたことが全て無意味に感じそうになるため、ファイルについて考えるのをやめて一枚の紙をファイルから抜いた。
シロさんのプロフィールが書かれている紙だ。
ちなみに裏には私のプロフィールもあるがそれはまあいい。
紙を四つ折りにしてシロさんに手渡す。


「これ持っててください。ここから出た後で役に立つと思うんで」


記憶喪失のシロさんにはきっと必要なものだ。
これに住所でも書いてくれていれば完璧なのだが……。
今のところ役に立ちそうなのは、病歴と血液型くらいだ。


「…………うん」


シロさんは珍しく嫌そうな顔をしながらも、受け取ってくれた。
自分の情報を知るのが嫌なのだろうか……?
まあ、受け取ってくれたので、よしとしよう。

 
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