第13章 再会
「蒼……?」
「えっ……あ、何?」
「ぼーっとしてたから……まだ具合悪い?」
「……なんでもない。想像を現実と勘違いしてただけだよ」
そうだ、全ての【Failure】が不死かもしれないなんて、ただの想像。
不十分な証拠から私が勝手に想像していただけだ。
こんなことで真琴に心配をかけてしまうなんて、我ながら情けない。
「……?」
「まあ気にしないで。それより……」
ここに長居するのは危険ではないのか、と言う。
開きっぱなしの扉の向こうからいつ【Failure】が現れるかわからない。
……わからない、というか、廊下からズルズルと何かを引きずる音がする。
逃げるときにポケットに突っ込んでおいた銃を取り出そうとしたが、津山さんに制止された。津山さんの手にはすでに銃がある。
ここはオレに任せろ、ということだろうか。
別に誰が倒してもいいかと思った私は大人しく引き下がる。
津山さんが銃口を廊下に向けたのと同時に【Failure】が現れた。
「……げっ」
現れたのは這いつくばって動く首なしの【Failure】。
這いつくばる意味はなんだと疑問に思ったが、足がないのを見て納得する。
目の前の【Failure】には両足がなかった。
皮膚や筋肉だけが腐り落ちたのか、変色した骨だけが残っている。
【Failure】の見た目が気持ち悪いのは今さらだが、これはレベルが違う。
津山さんはそんな【Failure】に臆することなく引き金を引いた。
骨が剥き出しになった首に銃弾が吸い込まれると、上半身が弾け飛んだ。
動かなくなったところを見ると、これは私と健斗君を追っていた【Failure】ではないらしい。もしも全ての【Failure】が不死なのだとしたら、この【Failure】は下半身だけで生き続けることになるのか……。
(……殺せないのかな)
私たちのためにも、この【Failure】のためにも。