第13章 再会
「でも、あのフェ、いや化け物はどうなったの?」
また【Failure】と言いかけてしまった。
いっそのこと化け物の正式名称だけでも教えておこうかとも思ったが、なぜ正式名称を知っているのかと聞かれたら困るためやめておいた。
真琴は私の問いに「知らない」と答える。
「銃が効かないってわかった途端、黒髪が化け物の首をナイフで切断したんだ」
「切断!? え、あれにそんなに近づいたの? ナイフで切るって、かなり近づかないと出来ないよね? 津山さんすごすぎる……」
「……ふん。別にすごくなんて……」
「あの程度あたしにだって出来るし」
津山さんが何か言いかけていたが、真琴の声に遮られて聞こえなかった。
なんて言ったのか津山さんに聞こうとしたが真琴に口を塞がれた。
「他の人とあんまり話さないで」とのことだ。
真琴は昔から私が家族以外の人と話すのを酷く嫌がる。
……まあ、それは今はいいとして。
「それで、倒せたの?」
「ダメだった。首がなくなっても動いてた」
「…………」
首がない【Failure】が動いている姿を想像する。
……首があろうとなかろうと、【Failure】はやっぱり気持ち悪かった。
「けどなんかふらふらしてたから、放っといて逃げてきた」
「ああ、なるほど……」
頭がなければ当然視覚も聴覚もなくなる。
つまり足音を聞いて追うことすら出来ないということだ。
そうなれば誰だってふらふらする。
まあ頭がなくなって動けるのは【Failure】とゴキ○リくらいのものだが。
……【Failure】とGって同類なのかな。
「まだその辺でふらふらしてるんじゃない?」
「……それは、なんというか……哀れだな」
少しだけ同情してしまった。
頭を失っても死ぬことが出来ない、狂った実験の犠牲となったその人に。