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希望の果てにあるものは

第8章 二人


【シロ視点】


茶色い髪の女の子。
ずっと怖い目で僕たちを見てる。

きっとあの子も怖いんだ。
いつのまにか知らないところにいて、ひとりぼっちで。
僕もひとりだったけど、蒼や健斗や透に会うことができた。
だからもう寂しくない。みんな優しいから、怖くない。

でも、あの子は違う。
たぶん、ひとりでいた時間が長すぎたんだ。
ここには変な生き物がいっぱいいて、だけど守ってくれる人はいなくて。
自分を自分で守っているうちに、他人に頼ることを諦めてしまったんだ。

あの子は人を信じられないんだ。
それはきっと、ここでの出来事だけが原因じゃない気がする。
あの子の過去に何かあったのなら、僕たちにはどうすることもできない。

けど、ここであの子と別れてしまってもいいのかな?
僕はダメだと思う。あの子をこれ以上ひとりにさせたくない。
ひとりは怖い。ひとりは寂しい。ひとりぼっちほど、つらいことはない。
あの子はまだ僕たちを見てる。僕たちがいなくなるのを待っている。
透はここから離れようとしているけど、僕は動かない。

何か、ないのかな。
あの子をひとりにしない方法。あの子にかけられる言葉。
僕はあまり頭がいいわけじゃないようだけど、でも、考えなくちゃ。


「おい、早く離れるぞ。……おまえがここにいると、オレが迷惑なんだよ」


透が僕の腕を引っぱる。
僕は動かない。あの子から視線を逸らさない。

何か、何か、何か。
あの子の心を動かせる言葉を。
あの子が僕たちと一緒にいられるような言葉を。


――――ふいに、蒼の顔が頭に浮かんだ。


「蒼――――?」


ぽつりと呟いたその言葉に、あの子は驚いたような顔をした。

 
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