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希望の果てにあるものは

第8章 二人


【第三者視点】


津山透とシロは廊下を歩いていた。
二人の間に会話はない。
津山もシロも、お互いに話す話題も理由もないからだ。
ただ一つ四人でいたころと違うのは、シロが津山の隣を歩いていること。
記憶喪失だという得たいの知れない男を背後に立たせるのは危険だと判断した津山が自ら隣を歩くようにとシロに告げたのだ。
前を歩かせる方が安全ではあるが、武器を持たぬ人間を先頭に立たせるほど津山は非情な人間ではなかった。

腐敗した体を引きずりながら襲ってくる化け物をためらいなく殺す。
銃弾は蒼と別れた部屋で手に入れたため、まだ余裕がある。
あの部屋で弾を補充できたことは幸いだった、と津山は安堵した。
同時に、失ったものを思い出す。言わずもがな、蒼と健斗のことだった。


(……あいつら、どうしてるかな……。無事だといいが……)


二人のことを心配していると自覚した津山。
出来ることなら、もう一度あの二人に会いたいと思っている。
会うことが叶わずとも、せめて無事を確認したい。

そんなことを思いながら先へ進む津山の前に、“彼女”は突然現れた。

 
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