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希望の果てにあるものは

第8章 二人


銃弾が見つかればラッキー、なんてさっき考えていたっけ。


「……あった」


銃弾あった、ありました。
正確に言うと弾倉が装填された拳銃が五つ。いや、五丁か。
銃はいくつもいらないので、銃から弾倉だけを取り出させてもらう。
ああ、津山さんも私に渡した弾倉はこうして手に入れたんだな、きっと。

健斗君には弾倉を抜いていない銃を一丁と弾倉を三つ渡した。
渡したというか、銃を見つけたのも弾倉を銃から抜いたのも健斗君だが。
腕を動かせるようになるまで、あと十分はかかるだろう。

銃は一台の机の引き出しに一丁ずつ入っていた。
机は全部で五台。全ての机にパソコンが置かれていた。
ここは本当になんの施設なのだろうか。
牢屋と研究室がある建物だなんて、少なくとも私は聞いたことがない。


「……ねえ、牢屋と研究室がある建物って知ってる?」

「牢屋と研究室? 聞いたことがないけど……どうして?」

「いや、この建物ってなんなんだろうなって思って……。そうか、健斗君もわからないか……。本当、ここってどこにあるなんの建物なんだろうね」


建物の見取図でもあれば一気に出口を探すのが楽になるのだが。
この危険な建物内では武器が一番重要だが、やはり見取図は欲しい。
引き出しには銃が入っていたけど、他に使えるものはないだろうか……。

肩はまだ動かせないが、肘から下はもう動かせる。
肩に負担をかけないようゆっくりと腕を動かし、引き出しに手をかける。
開けられた引き出しの中には、弾倉のない銃が入っているだけだった。
だが、しゃがんで奥の方を覗き込むと……一枚の紙が見えた。


「これは…………なんだ?」

「あ、端のところにPASSって書いてるよ。何かのパスワードじゃないかな」


なんだろう、その重要そうなのにまったく必要性を感じないないものは。
まあ一応記憶しておこう。無駄な気がするが。


「えーっと、『PL2637』ね。うん、覚えた」

「覚えたって……記憶力いいの?」

「まあね。地理とか歴史とか、暗記系は得意。……数学はさっぱりだけど」


遠い目をしてそう言うと、健斗君は苦笑いした。
まあ、数学はまだ赤点とったことないから大丈夫だと思うけど……。
ああそうだ、今度テストあるんだった。早く帰ってテスト勉強しないとな……。

 
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