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希望の果てにあるものは

第5章 違和感


「おいガキ共。いつまでのんびりしてるんだ」

「あ、津山さん」


しばらく健斗君を慰めていると、津山さんが話しかけてきた。
そのことに驚き、つい疑問を口に出してしまう。


「あの、干渉しないんじゃなかったんですか?」

「っ!! あ、ぐっ……う、うるさい!!」

「いだっ!」


津山さんは私の頭を叩き、こちらに背を向けた。
だが私はたしかに見た。津山さんの顔が赤く染まっていたのを。

津山さんでも照れたりするのか。
照れ隠しにしては叩く力に容赦がなさすぎるような気がするが。
まあ痛みはほとんど残っていないのでよしとしよう。

立ち上がってズボンについたホコリを払う。
部屋を出ようとする津山さんの……首を、なんとなく見た。
恐らく健斗君の首にあんなものがあったからだろう。

そこにあったのは、六桁の――――――――。


「!! 津山さん、それ!」

「は? って、なっ……!」


津山さんに掴みかかって首に顔を近づける。
見間違いかとも思ったが、それはやはり六桁の数字であった。

520122。それが津山さんの首に刻まれていた番号。

健斗君は520125で津山さんは520122……一桁目以降は同じ番号だ。
これは偶然なのだろうか? そもそもこの数字はいったいなんなんだ……。


「520122……520125……うーん……」

「お、おい、篠塚っ……」

「なんだろうこれ……日付?」

「は、はやっ、早く離れ……」

「いや日付と決めつけるのも…………津山さん?」

「っだから離れろっ!! 近い!!」

「…………あ」


津山さんに言われて初めて気づく。
数字を見るために体も顔もかなり津山さんに近づいていた。
体は近いというか密着しており、顔も少し動けば触れるほど近く……。


「ああ、すみません」


数字は覚えたためもう見る必要はない。
私がさっと離れると、津山さんは自身の服を握りしめてうずくまった。
具合でも悪いのかと心配したが、どうやらそういうわけではないらしい。


(……また照れてる)


なんだか少々可哀想になるくらい顔が真っ赤だった。

……初々しい反応だなー……。

 
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