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希望の果てにあるものは

第5章 違和感


「……もしかして、僕たちを誘拐した人が変なもの飲ませたとか……」

「こ、怖いこと言わないでよ……」

「ご、ごめん」


だが彼の発言を否定することもできない。
誘拐犯の目的が投薬実験の被験者を集めることだとしたら。
想像したくはないが、私たちはかなり危険な状態にあるかもしれない。
化け物がうろついている建物にいる時点ですでに危険ではあるが。

薬を投与するとなると飲むか注射かの二つだ。
注射したのならば注射痕があるかもしれないと思い、袖をまくる。
だが、どこにも注射痕のようなものはなかった。
消えただけかもしれないので、安心することはできないが。


「…………あれ。それ何?」

「それって?」

「ほらそこ、首んとこ。何これ……数字?」


健斗君との距離が近づいたために見えた首の部分。
見たことはないが、これが入れ墨というものなのだろうか。
健斗君が入れたのかと思ったが、彼は知らないと首を横に振った。
首に顔を近づけると、それが六桁の数字だとわかった。


「えーと……520125……だって。これなんの番号だ……?」

「さあ……って、ええっ! 本当に何か書いてあるの?」

「うん。タトゥーシールではなさそうだから、たぶん入れ墨だと思う」

「い、入れ墨……そんな、いつのまに……しかも数字って……うう……」


がっくりと目に見えて落ち込む健斗君。
身に覚えがないということは誘拐犯に入れられたのかもしれない。
かける言葉が見つからず、私はよしよしと慰めるように彼の頭を撫でた。

520125。
この数字の羅列に意味はあるのだろうか。
たとえ意味や理由があったとしても、こんなことするなんて最低だ。
入れ墨はたしか、入れる際に皮膚を傷つけなければならなかったはず。
誘拐した上に体を傷つけてわけのわからない数字を刻むだなんて……。

絶対誘拐犯を見つけ出してぶん殴ってやる。
そう決意し、右手で健斗君を撫でながら左手で拳を握った。

 
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