第5章 違和感
「津山さんもその首の数字、知らないの?」
「あ゙あ? そんなの知らねー……って、数字ってなんのことだ……?」
「ああ、それは……」
まだほんのり顔が赤い津山さんに数字のことを説明した。
健斗君の首を見せ、これに似たものが津山さんの首にもあると。
この数字の意味はわからない、そもそも意味があるのかどうかすらもわかっていないということも。
私が話し終えると、津山さんは私の首の辺りを指差し口を開いた。
「それなら、おまえの首にもあるぞ」
「…………え? 今、なんて……」
「だから、首。おまえの首にも数字があるって」
「……嘘っ、え、マジですか!?」
慌てて首に触れる。
だが触っただけではわからなかった。
健斗君に見てもらうと、「本当だ」と健斗君は言った。
まさか自分にもあっただなんて……。
いや、あるかもしれないと頭の片隅で思ってはいたが……。
そもそもいつ入れ墨なんて入れられたのだろうか。
入れ墨を入れるのはきっと痛いから、気絶していても起きると思うのだが。
「なんて? なんて書いてあるの?」
「ちょっと待って……えっと、520115、だね」
「やっぱり六桁か……」
二人と違う点は、二人は二桁目が2なのに対し、私は1だということだ。
ほんの些細な違いだが、私はなぜか妙にそのことが気になった。
たった1と2の違いが、すごく重要なことのような気がして……。
(……気のせいだよね)
数字に意味があるかどうかもわかっていないというのに、何が重要なことだ。
勘などあてにならない。私は自分の目で見たものしか信じない。
今はこれからのことを考えるべきだ。
ああ、ここにはめぼしいものは何もないのだった。
津山さんを待たせてしまっている。突っ立ってないで早く移動しなければ。
武器が何もないのは残念だったな。私と健斗君はまだ丸腰のままなのか。
早く自分の力で自分の身と二人を守れるようになりたいな……。
脳裏をちらつく妙な違和感を掻き消すように、必死に別のことを考えた。