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希望の果てにあるものは

第4章 遭遇


「……あの、大丈夫? なんだか具合悪そうだけど……」

「あー……大丈夫。心配かけてごめん、香月君」

「け、健斗でいいよ」

「ああ、じゃあ私も蒼でいいよ。年近そうだから」


健斗君に年齢を尋ねると彼は16歳と答えた。
同い年っぽいとは思っていたが、本当に同い年だったとは。

まあそれはそれとして、そろそろ移動しないとまずいかもしれない。
津山さんはだいぶ先まで行っているはずだ。
こんな廊下のど真ん中に丸腰で放置されている私と健斗君。
誰の目から見ても、この状況はかなりまずい。


「ところで、ここに黒髪で二十代くらいの人が来なかった?」

「来たよ。僕のこと助けてくれたんだ」

「……そっか」


津山さんは健斗君を助けたのか。
私のことを邪魔だとか言っていたが、やはり根は優しい人なのだろう。
ここに来るまでも津山さんは私を化け物から守ってくれた。
本人は自身を守るためだと言っていたけれど。

私は健斗君に事情を話して津山さんを追うことにした。
健斗君も私たちについていきたいと言ったが、元々連れていくつもりだ。
こんなところにひとりぼっちになんてさせられない。
ひとりで得体の知れない場所を歩くのがどれだけ怖いかわかっているから。


「その、津山さんってどういう人なの?」

「んー……いい人だよ。邪魔だとか死んでも構わないとか言うけど」

「……それ、いい人なの……?」

「なんだかんだ言って結局助けてくれるからね。口では否定しても、いざというときは体が勝手に動いてしまうタイプなんじゃないかな。たぶんね」

「へぇ……」


きっとそうだ。
津山さんは本当はすごく優しい人なのだ。
ただ、この異常な状況が津山さんをあんな風にしてしまっただけで。
津山さんも心のどこかでは私たちと仲良くしたいと思っている、といいな。

 
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