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希望の果てにあるものは

第4章 遭遇


【津山視点】


「…………えええぇぇ!? 置いてかれたぁ――――!?」


廊下に響く篠塚の声を無視して走る。
あいつなら放っておいても死にはしないだろう。
……いや、別に死んでも構わないんだ。オレの知ったことじゃない。


「うわああああ!!」

「!」


オレの視界に飛び込んできたのは、化け物に襲われる少年の姿。
足を止めて銃を両手で固定し引き金を引くと、銃口から銃弾が放たれる。
銃弾は化け物が少年に触れる前に化け物の額に吸い込まれた。
化け物の頭はかなりもろいのか、一瞬で弾け飛んで肉片と化した。


「あ……あ、ぁ……」


少年は化け物の成れの果てを見つめて震えている。
ああ、そういえば篠塚も似たような反応をしていた。
これが化け物を見たときの普通の反応なんだろうな……。


「……おい」

「ひっ! あ、の……僕……」

「……別におまえを殺そうというわけじゃない。じゃあな」

「え……」


震える少年をおいて先へ進む。
放っておいても後から来る篠塚がどうにかするだろう。
あいつはこんな状態の人間を見捨てるようなやつじゃないからな……。


(……何を考えてるんだ、オレは)


あいつが人を見捨てるようなやつじゃない?
なぜそんなことを言い切れる。あいつは他人のようなものだ。
いくら突き放しても勝手に付きまとってくる面倒で邪魔なただのガキ。

そもそもなぜオレはあの少年や篠塚を助けたんだ。
あいつらが死のうが生きようがオレには関係ない、むしろあいつらが生きているとこの建物内にある武器が減ってしまう可能性があるというのに。
オレにとっては化け物に殺されてくれる方が好都合のはず……。


「……ちっ」


いったい自分が何をしたいのかわからない。
篠塚にも、あの少年にも、自身にすらも苛立ってくる。
思わずしてしまった舌打ちは、思った以上に廊下に響き渡った。

 
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