第3章 探索
ぴったり一分で私を置いていこうとした津山さんを追いかける。
正直言ってまだ痛いが、廊下においてけぼりにされるくらいなら我慢する。
部屋には積み重ねられたダンボール箱が大量に置かれていた。
ほんの少し触れれば簡単に崩れてしまいそうだ。
それなのに。
「……何、してるんですか?」
「見ればわかるだろ。漁ってるんだ」
津山さんは容赦なくダンボールタワーを崩してダンボール箱の中身を床にぶちまけている。近くにあるタワーが崩れそうなのだが大丈夫だろうか。
ダンボール箱には様々な物が詰め込まれていた。
壊れたラジカセ、壊れた掃除機、壊れたリモコンのようなもの等々……。
ようはガラクタばかりだ。ここは廃品置き場である可能性が高い。
津山さんの周りはガラクタで溢れかえっている。
次から次へと箱から出して片付けないからこうなるのだ。
私は小さくため息をつき、周りにあるガラクタを片っ端から箱に直す。
まあいくら片付けてもまた津山さんが散らかすためまったく片付かないが。
「津山さーん……。いったい何がしたいんですかー……」
「おまえは黙って片付けてろ」
「…………」
ありがとうと感謝されるどころか片付けることを強要された。
この人は私が片付けるのを当然だと思っているようだ。
口元がひくりとひきつったのを感じた。これでも彼は命の恩人なので、文句を言うつもりはないが。耐えるんだ、蒼。
津山さんが何かを探し、私が片付ける。
同じ行為を繰り返して15分ほど経ったころ、それは見つかった。
「……あの、それ……」
「思ったより少ないな……まあいいか」
箱の中に入っていたのは、紛れもない、人殺しの道具……拳銃だった。
他にも弾丸が入った長方形の部品(弾倉というらしい)やナイフに手榴弾……なぜこんな危険なものがガラクタに紛れて放置されているんだ。
疑問に思ったが、津山さんはそれを当然のようにポケットに入れている。
ポケットが膨れ上がっているが、銃が暴発したりしないのだろうか。