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希望の果てにあるものは

第16章 崩壊


「…………は、はは」


突然、誰かの笑い声が聞こえた。
笑っていたのは、気絶していたはずの蒼。
渇いた笑い声をあげ続ける蒼を見て、僕は恐怖を感じた。


「あはははははははは。はは、は」


光のない目が僕を捉える。
笑いながら拳銃を取り出して僕に向けた。
撃たれる。そうわかっていても、僕は動かなかった。
だって僕は、殺されて当然のことを蒼に、みんなにしてきたから。


「帰る、帰るの。帰らなきゃ、帰って、あははは」


誰の目から見ても異常な蒼。
透が壊れてしまったせいで、蒼も壊れてしまったんだね。
ごめんない。僕が君を壊してしまった。
薬を作ったのは“彼女”だけど、投薬したのは僕なのだから。


引き金が引かれ、銃弾が額に向かって放たれる。
銃口から放たれた弾が額に届くまでの、一秒にも満たないわずかな時間。
走馬灯のようなものを見ている最中、僕はようやく気づいた。


何もかも失った僕に名前をくれた。
一緒に行こうと言ってくれた。
僕を守ってくれた。
こんな僕と、最後の瞬間まで、一緒にいてくれた。


僕は、そんな蒼が好きだったのだと、今になって、ようやく――――――――

 
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