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希望の果てにあるものは

第15章 現実


【津山視点】


意識を失っている間、夢をみていた。
いつのまにか消えてしまっていた、この施設での出来事。
誘拐され、首に焼印を押され、何かを飲まされ、緑の液体を注射された。
檻の中で徐々に薄れていく記憶。それを、全て思い出してしまった。

目が覚めたと思ったら、頭がボーッとして上手く動かなかった。
頭は勝手に思考を放棄し、手は勝手に動いて篠塚の首を絞める。
必死に抗った。やめろ、手を離せ、篠塚を殺すなと。
ようやく体を自分の意思で動かせるようになり、篠塚の首を離すと、篠塚は何度も苦しそうに咳き込んだ。オレのせいだ。

ゆっくりと自我が失われていくのがわかった。
完全に自我が消失すれば、また、オレは篠塚を殺そうとするだろう。
ただの直感だが、自分の行動を見る限り、その可能性が高かった。


「たの、む。殺し、てくれ」


オレがおまえたちを殺す前に。
オレの自我が消える前に。


オレが、おまえたちと過ごした時間を、忘れてしまう前に。

 
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