第2章 卯の花月
影山飛雄side
朝校門を見ると
小さな小さな背中が見えた
そして後ろからの強風で舞い上がっていった葉をただただ見つめながら
立っている桔梗を俺は綺麗だとしか思えなかった
二つに結ばれている髪を風で邪魔されないように左手で抑えている姿が俺の中で永遠の時間のような気がしていた
そして俺は次の言葉と表情とに震えた
『本当にあるかもしれないな・・・』
出会ったころから変わらない誰に対しても敬語だったのにそれがない言葉遣いが
耳を暑くしてしまった
そして最後の表情は微かに微笑んでいるような
嬉しそうな表情をしていた
それが一番胸を熱くさせていた
ほんの一瞬のことだろうが
俺にとって言わせると
本当にテレビのワンシーンのような光景
そして初めて少し違う表情に
嬉しさと驚きだった
そして俺は声を掛けてしまっていた
桔梗は話しかけるといつもどおりの敬語で
表情も戻ってしまっていた
体のことまで聞いてきて
まぁマネージャーなんだから当たり前だが
単純に嬉しかった
でもなんで嬉しいのかわからねぇ・・・
モヤモヤしている
でも桔梗といると
俺が俺じゃないような感覚に陥ってしまう
クソッ!!!
これ・・・
この桔梗を見るだけで
胸がモヤモヤして鼓動が早くなるのはなんだよっ!!
そんなことを考えたら日向の奴が走ってきて
俺はすぐに追いかけた