第6章 小夜左文字
「あ、おかえりなさい主君」
「ただいま秋田。これお土産ね、みんなで分けて。後、博多ー?博多いるー?」
「なんね、どうしたと?」
「ちょっと相談乗ってくれる?実は全員に携帯持たせたいんだけど、どの機種でどのプランだと一番お得だと思う?」
「全員に持たせるとは、また突然大盤振る舞いですな、主殿?」
「ファッ⁈一期どこから湧いたの?」
「初めからここにおりましたが」
嘘ではない。一期は夕食を済ませると、玄関で審神者達の帰りを待つべく待機していたのである。途中見かねて秋田が一緒に待つことにしたのでよかったものの、一人待つ姿はどこかの駅で主人を待つ忠犬のようだった。
「で、今度は何をなさるおつもりでしたかな?」
「鶴丸じゃないから何かイタズラしようとしているわけじゃないよ?何かあった時に困るから全員に連絡出来る術を持っててもらいたいだけ」
「ほほう、それは結構なことですがまた唐突に何故ですかな?」
「今日小夜とはぐれちゃってね、連絡の取りようがなくて困ったの。幸いすぐに見つかったからよかったもののこれからもそういうことが起こらないとは限らないからね」
だから全員に使い方を覚えてもらおうと思って、と事も無げに言う審神者に一期は呆れた。結構な大問題である。
「主殿、我等刀剣男士は護衛の為に同行しているはずですが」
「うん、だからこそ全員に携帯の使い方を覚えてもらおうと思ってるの」
「もしかしていち兄使い方覚えられんと?」
「そんな訳ないでしょう、博多」
「そうだよ博多、いくら私でもそれくらい出来るから」
「なら問題なかよ」
博多の眼鏡がキラリと光る。こういう時の博多は何かしら企んでいるのである。すかさず審神者とアイコンタクトをとり、察した審神者と阿吽の呼吸で問題をすり替えた。そしてそれに気づかぬまま、一期は押し切られた。
この日以降、現世へ行ける条件に「携帯が使えること」という項目が追加された。