第6章 小夜左文字
「すごいなぁぼく、聞かれたことにちゃんと答えられて偉いね」
黒いコートの女性が小夜の頭を撫でる。唐突に褒められて、小夜の頬が赤く染まる。黒いコートの男性はさっきからしきりにどこかと連絡を取っていた。
「ここは寒いから、暖かいところで待ってようか」
小夜の手をとり黒いコートの女性が歩き出そうとしたところで、今度は男性の方が話しかけてきた。
「小夜くん、お姉さん見つかったって。今こっちに来るからね」
「うわぁ、よかったね小夜くん!これで安心だね」
しばら辺りを見回していると、男女と同じ黒いコートを着た女性に先導されて審神者が現れた。
「小夜!無事だった!?よかった見つかって!!」
「ごめんなさい姉様。約束したのに……」
「本当にダメでしょ?心配したんだから!もう勝手にどこかへ行っちゃダメよ」
「うん、ごめんなさい」
「まぁそれでも無事だったからいいわ。小夜、お兄さん達にお礼を言って」
「姉様を探してくれてありがとう」
ペコリと頭を下げる小夜に続けて審神者も頭を下げた。
「本当にありがとうございました。おかげさまで無事落ち合えました。お手数をおかけしました」
「いえいえ、無事落ち合えてよかったですね。小夜くん、お姉さん見つかってよかったね。まだまだいっぱい楽しんでいってね」
コクリと頷く小夜の手をとりながら、審神者はもう一度頭を下げた。
「本当にありがとうございました。小夜、今度は約束破っちゃダメだからね」
「うん、わかってる」
笑顔で手を振る係員達に手を振り返しながら、小夜は今度こそしっかりと審神者の手を握りしめた。