第28章 想い
その頃、黒い球体に亀裂が入る前
鼓動と同時に、外では…
男の首に風刃の刃を押し付けていた
(902ページ参照)
緑川「待って、迅さん!
何も殺すことは」
迅「あいつの過去を
知ってないとは言わせない…
どれほど人に傷付けられて
どれほど殺されかけてきたか…
あっち(近界や、ワールドトリガーではない世界)でも
こっち(今いる世界)でも……」
怒りと共に震えが止まらない中
風刃の刃を首に押し付けたまま、睨み続けていた…
迅「こいつは…
それを無理やり押し付けて、暴走させようとしたんだろ?」
「悪い…済まなかった…
支配下に置くには、一度闇に落とすしか方法が」
震える男に対し、
それでも我慢がならないように
迅からギリギリと歯を食い縛る音が聞こえてきた…
迅「悪いが…
俺は、今まで生きてきた中で
一番怒ってるんだ!!(くわっ!!)
邪魔をするな!」
右腕を掴んで押さえようとする緑川に対し
顔を向けず、怒りと共に男を睨み据えている中…
迅「俺は…
(恵土が泣き崩れ、自分を責め続ける姿が脳裏に浮かぶ)
っ…(ぎりっ)
あいつが苦しむのを
もう二度と見たくはないんだよ!!!!!」
冷静なように見えて
一番腹を立てていた…
真剣な眼差しを、男から目を離さずに叫ぶ中
緑川「だったら
恵土先輩を苦しませないでよ!!!」
迅「!!」
その言葉に、思わず緑川に目を向けた
緑川「自分のせいで死んだってなったら
きっと恵土先輩、自分自身を責めて殺しちゃうよ!!
苦しむよりも何よりも
もっと辛い思いをしちゃうでしょ!!??
それが解ってたから、必死に抑え込んでたんじゃないの!!??
我慢の限界なのも解るよ!!
俺だっておんなじだから!!」
迅「駿…」
緑川「そりゃ
迅さんほど一緒にいた時間は長くないし
そこまでたくさんの想い出とかはないよ!!
それでも…
恵土先輩は、いつだって俺たちのこと考えてくれてたでしょ?……(涙目」
その言葉に、近界民の首を斬ろうとする動きが止まった…