第26章 映画
未だに涙を流す恵土先輩を抱き締めた…
親でも、あんな風なスキンシップを取ることはなかった…
あんな風に真っ直ぐ向き合って、真っ向からぶつかって
その後、バカみたいな笑いまくって…
そんなバカみたいな日常が…
僕にとっては…気付けば、宝物になっていた……
だから、近界民に対して異様に腹が立ったりもしたけど…
あんたが傍に居るだけで良かったんだって、やっと気付いた…
それさえ叶えば…
また…
一緒にバカみたいなことばっかやって、笑って過ごせるって…
思ったんだ…
菊地原「だから…大丈夫。
あんたには…
僕の抱いてる想いも、きちんと見えてるし聴こえてるでしょ?」
恵土「…うん;(頷」
菊地原「たとえ見えなくなったとしても…
聴こえなくなったとしても、感じられるでしょ?」
恵土「うん;うんっ;」
うんって言いながら頷く恵土先輩を見て
僕はなぜか、笑えた…
必死に
『大丈夫だよ、伝わってるよ;』って言いたそうな顔をして…
それでも涙でろれつが回らなくなってて…
そういう恵土先輩だから、可愛いと思った…
でか過ぎる想いに振り回されて
悲しんだり怒ったり泣いたり笑ったり…
あんたのそんな姿なんて、もう山ほど見てる…
だから…
菊地原「何度でも受け入れるから。
そんな辛い目に遭ってた事ぐらい…
風間さんの横で全部聴いて見てましたから…
安心して、隣に居て下さい。
あんたの過去も、苦しみも…
全部見てます…
どれだけ苦しんできたのかも
どれだけ悩んで、今に至ったのかも…
その経緯、一つ一つも全部…
ちゃんと、言わなくても伝わってますから…
だから…
理解していると思って、接してください…
背負わせたくないなんて言ったとしても
もう遅いですよ。
全部知ってるんですから…
知った上で、傍に居たいんですから…
…
だから…
もう、そんなに気負わなくても大丈夫ですよ…
あんたのことなんて山ほど知ってます…
山ほど理解してます…
だから…
自分だと思って、気兼ねなく接してくださいよ…
いつもみたいに、バカみたいに笑って…
遠慮なく^^」
僕は…
この絆を、失いたくないんだ…