第24章 迅悠一
それから…
2010年12月11日、最上さんが死んだ…
未来視で、うっすらとは見えていた…
今度こそ、護る気でいた…
雨の降る中…
瓦礫の山の前、俺はひざまずいていた…
最上さんが居たはずの場所を見つめながら
目の前にある、棒となった最上さんを見据え
雨に打たれ続けながら…
最上さんは
護るために自ら選んで、ブラックトリガーになった…
バンダーから、護り抜くために…
どごぉん!!!
そいつの放った砲撃が、爆発する。
田舎の方だ。住んでいる人の数だって少ない。
それでも…
未来のために、遠くない未来であり得るはずの
幸せで満ち足りた笑顔の日常、全てを護り抜くために自らを捨てた…
迅「…」
その前で、俺は動くことができなかった…
また、目の前に居ながら助けることができなかった…
悔しさと共に、ゆっくり拳を握り締めながら
涙が止まらなかった…
再び、失ったことに気付いて…
そんな中、砲撃は続く
それが2発目に至った直後
それごとバンダーを切り裂き、現れる人がいた。
ずばぁん!!(バンダーを切り裂く)
だあん!!(バンダーの上に着地する)
恵土「…大丈夫か!?迅」
俺を見下ろしながらも叫び聞く恵土に
ようやく、放心しきっていた頭が動き出した…
迅「…!」
そして、やっと恵土が現れたことに気付いた…
言った後、俺の目の前に居る最上さんを見て
恵土は、まるで悟ったかのような苦し気な顔になりながら
恵土「立て。
最上さんは、お前を信じて託したんだ!
お前なら護り抜けると信じて!!」
気付けば、雨は小降りになって晴れ間が見えた…
それでも、俺には力が入らなくなっていた…
失ったことからの脱力感、喪失感…
それらが胸の中で暴れて、張り裂けそうになっていた…