第23章 激動
恵土「皆、必死でやってるんだ。
己の実力を過信すれば、そこをつかれて敗れる。
相手の実力を見極められず
なめてかかれば、足をすくわれる。
戦場でいずれ死ぬ要素が、お前が言った発言にある。
たとえ一時の感情であれ、冗談であれ
そんな事は、死んでも口に出しちゃいけない。
お前が死ねば、悲しむ家族がいる。
友人がいる。大事なものがいる。
その大事なものたちのためにも
家族たちの涙を防ぐためにも!
それは今、ここで殺す!!
これから、そんな考えが二度と出ないよう
完膚なきまでに叩きのめす。
覚悟しろ!!(くわっ!!」
「ひっ!!;」退き逃げる
そして…500回にわたる戦いで
1回の戦いにつき、1万回全身を切り刻まれた…
即座にベイルアウトしないよう、箇所を選んで…
それが逆に、死の恐怖を際立たせるようにしながら…
恵土「切り刻まれるその瞬間まで、しっかりと味わえ…
そして、死の恐怖を芯の髄まで叩き込め。
そこから立ち上がり
真の強さを見出して極めてみせろ!
決して死ぬな!!」
スコーピオンを出そうとする直後、出る前に切り刻み
アステロイドを出そうとするもまた、同様に切り刻み
手も足も出ないままに、終わった…
500万に亘る死の中…
軽率な発言が、考えが
戦場においては命取りになることを知らしめた。
迷ったものが負ける。
しかし過信をしてはいけない。
強いと決めつけて臆してもいけない。
どのような敵であれ、なめてはいけない。
決めつけてはいけない。
それが固定観念となり、いざ動かないといけない時
取ろうとする動きの範囲を狭め
自らを殺してしまうことになるから…
それを防ぐためにとった
乱暴な方法ではあれ、大事なものであった…
恵土「…これでよかったか?」
忍田「すまないな。損な役回りを押し付けて」
恵土「気にするな。
涙を流す人を減らせるためだ。
それに繋がって
一人でも多くの命を護り抜けるのなら、それでいい(微笑」
部屋で語る中…
忍田「そうか(微笑」
二人は、満足そうに微笑んでいた…