第22章 伏魔(ふくま)
ヴォルフ『忘れてなどはいないさ…
7歳よりも昔、トリガーを発動させていたことを…
それ以前に、1歳あたりの時に
あまりに強過ぎるトリオンから
空間移動で、たまたま近界へ繋げてしまい
そこに行って、トリガーを学んだことを…
それで持ち帰ったトリガーをもとにして
現在のトリガーが生み出されたことを…』
失われた記憶が…蘇る…
それまでの光景が脳裏に浮かんでは消え、悟る中…
ヴォルフ『お前によって
生み出された存在だということを忘れるな。
強過ぎる愛から、私が生まれ
お前の自身を護り抜こうとする意思とまでも一つとなった…
始祖神の体の、村の土地への封印が解け
外と何億年にもわたって分け隔てられていた特別な結界までも解け
それまで外の世界にはびこり続けていた闇を受けて
世界ごと全てを消滅させようとする始祖神に対して
自身へ癒着していた始祖神の魂を
自身が初代から祠で受け継いだ始祖神の力と共に打ち込み
正しき元の姿へ戻したことも…
それまでの想いも…
全てを、拳にのせて打ち込んだことも…』
恵土『…確か、1998年3月18日だったよね』
ヴォルフ『ああ。
1日ぐっすり眠りについていて
気付けば3月20日だった…』
恵土『…あの時の想い、忘れてないよな?』
ヴォルフ『ああ…』
恵土&ヴォルフ『私が、お前を護る!!』
その言葉と同時に…
白帝を起動させた時と同じように
トリオン体と生身が、一体化した…
その折、敵が入ってきた…
1「ちっ。
トリオンが大量にある場所にべったり張り付いてやがる」
2「それよりかはこっちだろ。
単独で来たんだ。
始祖神の末裔の情報を一部でも持って来れたら、もうけもんだろ」
1「そうだな。手に入れれば億万長者だ」
目論見を口にする中
恵土を縛り付けているベッドへと近付いてきた…