第19章 劇(退院祝い)
風間「今回も、同じようなものだ…
人を護るためなら、自分の生命がどうなることをもいとわない…
たとえそれで庇われた人間のみが助かって、生き延びることになろうとも…
それによって幸せではなくとも、長く生きていれば幸せを感じられることもある…
だから…少しでもいい、生きて欲しい…
それがあったから、幸せだと実感できる日まで…
苦しみがあったからこその幸せなのだと…いっぱいになるまで…
そう願って、恵土先輩の両親が…命を懸けたように…
村人たちもまた、同様にそれを願っていたそうだ…
誰一人として、そのようなことで憎しみなどを持ったりはしない…
それを感じ取っているからこそ、白帝を作り出せたのだと思った…
だが…このままでは、いつか死んでしまう…
今回が初めてじゃない…
これで、三門市では2358回目だ」
三雲「細かっ!!;)ってえ!何で…」
風間「…だから、それを護りたいと思わされた…
それでも、あの人はいつも笑って支えさせることしかさせてはくれなかった…
心を護ってくれたと、あの人は言うが…それだけでは満たされない何かもあった……
…俺の場合は…ただ、護りたかったのだろうな…
あの時、そうして守ってくれたように…
(庇いながら、怪我を負う恵土が脳裏に浮かび)
何度も、心をも救ってくれたように…
(満面の笑みを浮かべながら、手を差し伸ばす恵土が脳裏に浮かぶ…)
何もわからないまま、言っているわけではない…
それでも…何かをしたかった…
それだけだ…」
三雲(風間先輩…
ずっと悩んで、今も何か力になれるのならしようとして…)
風間「あの人に救われた人は多い…
お前もそうなんだろう?」
三雲「!はい」
風間「…なら、目を離さないことだ…
いつまた、人のために死ぬかもわからない…
あの人が、俺の幸せを護りたいと言ってくれたように…
俺もまた、あの人の幸せを護りたい…(微笑)
…厳密的に言えば…
あの人を大好きか愛しているかなどは、俺には解らない…
だが…
あの人のいる場所が、好きで仕方がない」
目を瞑りながら、穏やかに微笑む。
それまでの日々を思いだしながら…