第15章 創痍(そうい)
太刀川「お、今度は戦闘か」
恵土「あ、一番惜しかった戦いだ。
あれで掠り傷付けられかかったんだよね。
0.01秒でも遅かったら危なかった」
左手で風間の右腕を掴むことでナイフを止め
その直後にバルブを生成して放出しようとするも
ブランチブレードで持たれてある部位から生やそうとしたため
瞬時に左手へ放出してバリアーにさせて
残った部分で撃ち抜いて倒した。
その後、風間隊への取材があった。
恵土「え;」
「惜しかったですね」
風間「いえ。
まだ至らない点が多かったと思います」
菊地原「というより
本気になったら光速で動けるんですから無理でしょ」
歌川「こらっ!;」
「その後、風間隊三人で
恵土さんと戦ったこともあると聴きましたが
どのような感じでしたか?」
風間「完璧な動きでした。
全てを見切り、ギリギリでかわしながら
攻撃に転じるタイミングも
0.001秒でバルブを生成でき、自在に切り替える繊細な制御力も
全くよどみが無く、つけ入る隙さえも与えてくれませんでした」
「おお。
融合の方では、全く同じ質と量でトリオンを加えながら
一体化させるのに、時間がかかると聴きましたが」
風間「ええ。
ですが、彼女の場合は
トリオンを自在に扱いこなせるんです」
菊地原「例のサイドエフェクトでしょ?反則級の」
歌川「微細なトリオンの感知能力。
ほんの僅かだとしても、それを感じ取って制御できます。
それは他の人が相手でも使えて
どれほどのトリオンを有しているか
どこにいるのか、トリオンがどこに飛ばされたかまで
正確に察知することができます」
「凄いですね。
では、体の動かし方に関しても
その制御力によって、そう動くことで消費するトリオンを
強めたり弱めたりと調節して制御することで、早めたりも出来るのでは?」
風間「ええ。
一瞬の加速を相手にする場合
判断の遅れが一瞬だとしても命取りになりますから」
「なるほど」