第42章 飲み会(昔話)2
そんな妙な感慨と共に、俺はふと息を吐いた。
太刀川「あー。なんか解った」
恵土「?」
陽介「何が?」
太刀川「きょとんとした顔で顔あげやがって…
涙がにじんでるぞ?(苦笑」
そう言いながら、そっと右手の甲側の指でそっとぬぐった。
恵土「ん」
くすぐったそうに顔をゆがめる中、さっきの問いに答えだした。
太刀川「解ったんだ…
恵土が、何でこう育っちまったのか
不器用ながらに、真っ直ぐ向き合おうとするのか
ごまかすこともなく、ありのままで…
きっと、それ以外の付き合い方を
恵土は一切知らないんだろう。
嘘をつかれても
調子がいい時はサイドエフェクトで見抜けるが
それ以外では何でも信じる。
風邪こじらせて肺炎なったって言ったら
即座にその場に押し倒されてエネルギー送ろうとされた時はどうしようかと思った;
そんでもって
治そうと意識を集中させた時になって、やっと気付くような奴なわけで…:(溜息」
恵土「そこは言わんでいい//(むっすー」
赤らめた頬を膨らませながら
不本意だとでも言わんがばかりに、呟いていた。
やっぱかわいいな(にや)
太刀川「他にも、いい所はちゃんと知ってる。
ちゃんと、見てる奴は見てる。
でも…全員が全員じゃない。
視えてることを知った上で、否定してくる奴もいる。
どろどろとした何かまで見えて、気分が悪くなるような何かまで感じて、聴こえて…
本当に辛いはずなのに…
それでも、誰にも言えずにいるような奴に育ったのは
言ったとしても信じられず、否定され続ける環境にあったのかもしれない。
視えても聞こえても感じても
それらを誰にも言わないのは、それを恐れてのことだと最近になって解った。
同じことが起きるんじゃって、不安になったんだよな?きっと…
それでも、結局解っちまった。
たとえ、それが現実になって
恐怖や諦めや怒りに飲まれそうになっても
きっと、寸止めで
そいつを、そういうことをさせたって泣きだす。
責任を感じて、私が悪いことをさせるきっかけになったってよ…
そういう奴だから、俺は惚れちまった^^」
そう言いながら、俺は恵土の頭を抱き締めながら撫でまくった。
犬にやるかのように、ガシガシと撫でながら
愛おしくてたまらなくて、その頬に頬ずりしながら…