第35章 護るべきもの
風間(知っていた気になっていた…
過去を聞いて、知って、理解した気になっていた…
だが、ただ言葉で表せていられるほどのものじゃなかった!
この人はいつだって…
ありのままに見えて、自分を殺してきたんだ!!;)
気付けば涙を流していた。
力になれず、理解した気になって
大丈夫だと言われてうのみにし、支えになれている気になっていた。
それが…
こんな形で違うと
そんな風に言葉で表せる度合いではないと、解ったこそ……
それが哀しく、辛く、
言葉で語れるほどの苦しみや痛みなどではないと理解した。
だからこそ、あの事態(1168ページ参照)となった。
そんなまま…
己の心を人の為に殺し続けるのが当たり前となったまま
それを改善できずにいたまま、死なせたくなんかはなかったから……
その抱き締められた温もりに、ずっと続いていた笑い声がやっと止んだ…
恵土「はっははっ;
受け止める?本当?どこらへんが?
今までいもしないのに?話したことだってなかったじゃん。
そんな過去、話さない方がいいだろ?
嫌なだけだろ?苦しいだけだろ?重荷を渡せって?出来るわけないじゃん(微笑」
瞳を震わせたまま、言うそれに
恵土自身がもう、狂気に飲み込まれたようにも見えた。
あの数々の言動から
一体、今まで知っていたのは何だったのか…
上辺を見て、知った気になっていただけなのだろうか…
そう思わずにはいられなかった。
今まで恵土を支えていたのは
人を大切に想うが故の心と、数少ない楽しい想い出だけだった。
風間「大丈夫です。
俺が、護りますから。
たとえ再び辛い思いをしたとしても、俺が受け止めます。
何度でもなんだって聞きます。
あなたがそうしてくれたように…
そう在り続けて、何度も何度も俺たちを救ってくれたように…」
惜しみない愛情に、恵土の心は何かの温かさで包まれた感じがした。
恵土「じわ)っ;うっ;」
その欲しかったはずの温もりに、先程までの笑いは消え
涙が両目ににじみ、次々に零れ落ちていった…
欲しかったはずのものが、近くに感じられた。
それでも、笑えなかった…
それまでの道のりの険しさが故か……