第34章 未来の分岐点
始祖神「…お前の気持ちは、痛いほど伝わった。
それごと踏まえた上で、生き抜こうという姿勢も
真っ直ぐすぎる想いもまた、同様に…
二度と、誰にも同じ目に遭わさせたくないという気持ちは私にもわかる。
だが、その理不尽はいつでもどこにでもあるものだ。
人に言われなければ気付かぬ時もあれば
いつの間にかミスをしていたのを忘れる時もある。
その生きる際に妨げとなる理不尽が
目の前によぎれば、すぐにでも護り抜くのだろうな」
恵土「頷)当たり前だ。
あいつらにまで、毎日あんな地獄を見せたくない!」
始祖神「毎日毎日…何年も味わい続けてきた。
玄界でも、それが漫画やアニメとなっている世界でも…
だからこそ、そういう目に遭い続ける気持ちが
誰よりも解り、寄り添うことができる。
そして今や、感情を取り戻し
始祖神としてではなく、人として生きる道を選んだ。
完全な人として、その力を使うということでいいんだな?」
恵土「ああ。
始祖神の力を使えなくても、私は私だ。
そのために寄り憑いている奴等じゃない。
私という人格と向き合った上で、寄り添ってくれた人たちから(微笑」
始祖神「…解った。
もう、何も言うまい。
お前の決意は固い。
おそらく、何十年も待つことになるだろう。
それまで、私も生き永らえていこう。
お前の始祖神の力をもらって、私が生き返ったものだからな(微笑」
恵土「ありがとう、始祖神。
父上と母上を…皆を、この世に産んでくれて。
おかげで、私という存在が
今、ここにいられる。
私が今こうして幸せを感じていられるのも
皆だけでじゃなく、始祖神のおかげだ」
微笑みながら言う始祖神に対し
同じように微笑みながら、感謝と共に頭を下げて言った。
始祖神「私の方こそ、流石だと思っている」
恵土「え?」
始祖神「問いを出してから、真実を知った後
私が欲しい『理想の答え』を、お前は即座に平然と出した。
お前ならきっと、死んだ後でも幸せに笑えるということを実現できるだろう。
だから…
人としての寿命を全うせよ。
そして、生き抜いてみせろ。
お前の言う、大事な友と共に…」
恵土「おう!」
そう微笑みかけながら言う始祖神に
真剣な表情を浮かべ、微笑みながら叫ぶと共に頷いた。