第13章 灰色のキミと【※】
コンビニの中に入りコーラとカルピスを手に取り会計を済まし出ようとすると同じタイミングで少し息をきらして祥吾が入ってきた。
一緒にコンビニの外に出てはい、と買ったばかりのコーラを手渡す。
『だいぶ暗くなっちゃったから今日はやっぱ帰ろうかな。』
時刻はもう19時をまわっていた。
「は?俺お前家来ると思ってすげー頑張ったのに!!」
祥吾は不満そうな顔をしている。とハッと何かを思いついたように今度はニコニコとこちらを見る。
「泊まっていけばいーじゃん。」
『え?』
「だーかーらー明日土曜だから泊まってけば?って。どーせ明日なんもねーだろ用事。」
確かになにもないが、でも……私は悩む。
「大丈夫だって。梓何回か泊まったことあるし、今さら楓さんもダメだとか言わねーだろ。」
今まで兄が許していたというのを聞くと悩んでいたはずがだんだん大丈夫でしょ!という気に変わってくる。
『あ、でも着替えとか…。』
「俺ん家に何着か置いてってたから大丈夫!」
それなら…と言うと
「よし!決定ー!」
と言って私の手を引き歩き出す。
祥吾の家へ向かう途中兄に友達の家に泊まるとメールをすると誰の家?と返信がくる。
嘘をついてもいい事はないなと思ったので素直に祥吾の家と送るとわかりました。と敬語でかえってきた。
(怒ってる…?でもまぁお許しは出たから大丈夫か。)
祥吾の家は学校から私の家とは反対の方角にあった。
私の家とまではさすがにいかないがそれなりに綺麗な外観のマンションだった。
エレベーターにのりその階につくと祥吾の家へと案内される。
お邪魔しますと中にはいると玄関から続く廊下の一番手前のドアが開かれる。
「俺ちょっとシャワー浴びてくっから待ってて。」
とその部屋に一人残される私。
その部屋はベッドに本棚、テレビ、テーブル、二人掛けのフロアチェアがある。それとムスクの香り。どうやら祥吾の部屋のようだった。
(なんか散らかってるイメージあったけど結構綺麗にしてるんだな。)
部室のロッカーに練習後のTシャツを放置し緑間にファブリーズされていたシーンがあったため彼にはそのイメージがついていた。
大輝も同じことしてたな、とそのシーンを思い出しふふふっと笑ってしまった。
フロアチェアにちょこんとすわりテレビをつける。