第5章 放課後の屋上【※】
教室で帰り支度を整えると鞄をもち校内を散策した。
ここ帝光中は体育館はひとつではないし、グラウンドもサッカー部と野球部、陸上部などそれぞれがそれぞれのスペースで活動できるほどの広さがある。
校舎に関しても教室棟、特別室棟などいくつかの棟に分かれておりその敷地はものすごく広いものだった。
征十郎が迷子になるなよといったのにも頷ける。
とりあえず上から攻めて行こう、思った私は階段を一番上まであがった。
一番上まで辿り着くと一つの扉がありその扉を開くと校舎の屋上に出た。
『あ、屋上だ。』
私が通っていた中学は屋上には出られなかったので学校で屋上に入れるというのはすごく新鮮で特別な気がした。
屋上の端まで行き見降ろすと学校全体の広さが把握出来た。
『広いなー。中高一貫ならわかるけど中学だけだもんなー。』
やはりものすごく広い。と思ったのと同時に後ろから声がした。
「梓?」
その声はどこか聞き覚えのある声だった。
パッと振り向くとシルバーに近い髪の色をした男子が立っている。
ーーー灰崎祥吾だ。
『あ、えっと…』
記憶をなくしたワタシと灰崎はこの場が初対面である。
「あ、記憶ないんだっけ?赤司が言ってたなぁ。」
スタスタとワタシの近くまでその男は寄ってきた。
「お前もなんかめんどくせーことになってんだな。」
屋上の端までやってくるとワタシの横にならんだ。