第14章 家族
しんみりとした空気になった。
なにか楽しい話題を…と考えるがこういうときに限って何も浮かんでこない。
「今日ってこのあと何か予定あるの?」
『とくに何かする予定ないよ。』
「じゃぁ久しぶりに二人で買い物でもいこっか。」
そう兄にいわれて買い物にいくことになった。
ーーーーー。
買い物を終え夕食を済まし帰宅する。両手には荷物がいっぱいだ。
とくに何かが欲しかったというわけではないにもかかわらず服屋に入るたび兄にあれやこれやを試着させられ兄が気に入ったものを次々に購入していく。
父親の金で暮らしてるということを嫌がっていたわりにそのお金を使う兄。それは小さな反抗心のようなものだった。
買い物をしているとき父さんはこの倍、それ以上のお金を静香さんに使ってる。だったら実の娘にだっていいものを買ってあげるのは当たり前だろ?と言っていた。
自室のクローゼットがいっぱいなのはワタシの意思ではなく兄によるものだったのか…と解釈した。
今日買ったものの中にパーティーで着るようなブランドもののワンピースがふくまれていた。
『これさ、どの場面で着るの?』
私はそのワンピースをとりだし自分の身体にあて兄に聞いた。
「あー今度父さんの知り合いが集まるパーティーがあるらしくて。俺と梓も呼ばれててね。不本意だけどやっぱり俺はもう立場的にパスできるものでもないし。梓にもついてきてほしいなって…嫌だったら無理しなくていいから!」
少し兄に頼られたのが嬉しかった。
『お兄ちゃんがいくならついてくよ。パーティーとかちょっとどんなのか気になるし、このワンピース可愛いからこれ着てお出かけしたいし。』
たくさんの荷物を自室のクローゼットへと運び整理をした。
夜になりベッドに入ると祥吾から虹村さんにこてんぱんにされた、とメールが届いたのでそれは虹村さんの愛情だよ、と返しておいた。
昨日は隣に祥吾がいて暖かさを感じたが今日ひとりで寝ることがさみしく、私は布団を抱き枕代わりにして眠りについた。